若林強斎先生『神道大意』1/2

神道大意

惣ジテ我ガ国ノ道ヲカタルハ、水ヲ一ツ汲ト云テモ、水ニハ水ノ神霊ガ在スコトユヘ、アレアソコニ水ノ神罔象女神(ミズハノメ)様ガゴザリテ、アダニナラヌコト、麁末(ソマツ)ニナラヌコトト思ヒ、火ヲ一ツ焼ニモ、アレアソコニ火ノ神軻遇突智(カグツチ)様ガゴザルユヘ、大事ノコトジャト思ヒ、才カニ木一本ツカウモ、句々廼馳(ククノチ)様ノゴザラルヽモノ、草一本デモ草野姫様ノゴザラルヽモノヲ、ト云様ニ、何ニツケカニツケ、触ル処、サワル処、其ノ神霊ノマシマサヌコトナケレバ、アダニモヲロソカニモセラレヌコト、トカフ云ガ神道ノ趣デ、ト云ナリガ平生ノ工夫ニモナツタモノゾ。サシアタリ面々自己ノ工夫カライヘバ、此天神ヨリ下サレタミタマヲ、不孝ニナラヌ様ニ、不忠ニナラヌ様ニ、ドコカラドコマデモアダニモチクヅサヌ様ニ、麁末ニ汙(ケガ)サヌ様ニト云ヨリ外ハナイ。コレヲ経学デイヘバ、人ノ一心一身ヨリ日用万事万物マデ、理ノナイコトナイユヘ、ドコマデモ其理ナリ天命ナリヲソコナワヌ様ニ、ト云コトジヤガ、ソレヲ理ト云ヅクナシニ、日用事物、ドコカラドコマデモ神様ノゴザルニヨツテ、ドフモ欺(アザムカ)フ様ノナイコト、慢(アナ)ドラフ様ノナヒコトジヤ、トカフ云ガ神道ノ教ゾ。志ヲ立ルモ、此形ハ気ノツヾクホドツヾイテクチハツルコトジヤガ、ソレハ形アルモノハ始ガアレバ終ガアルハヅハ知レタコト、アノ天ノ神ヨリ下サレタ面々ノコノミタマハ、死生存亡ノヘダテハナイユヘ、コノ大事ノモノヲ、即今忠孝ノ身トナシテ君父ニソムキ奉ラヌ様ニ其身ナリニドコマデモ八百万ノ神ノ下座ニツラナリ、君上ヲ護リ奉リ、国土ヲ鎮ムル神霊トナル様ニ、ト云ヨリ外、志ハナイゾ。ジヤニヨツテ、死生ノ間ニトンジヤクハナイ。ドコマデモ此天ノ神ヨリタマハル幸魂・奇魂ヲモチクヅサヌ様ニ、ケガシキヅツケヌ様ニスルヨリナイ。ソレヲモチクヅセバ、生テモ死デモ、天地無究ノ間、其罪ハドコ迄モハゲヌコトゾ。孔孟程朱ノ教モ、ヤハリカフ云コトナレドモ、風土ノチガイアルユヘ、通事ガ中ニ立テ云マハサネバ、通ゼヌゾ。

近藤啓吾先生校注 『神道大系』(「垂加神道(下)」)より野村淡斎筆録、強斎自筆訂正のものを参照した。ルビは筆者。

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