畔放云々。くわしく神代巻に出でる。日の神の新穀を以ってご先祖をまつらせ玉う御祭のとき、わるさをなされ、神供の御田をあらさせられたぞ。畔はあぜ。田地のあぜをはなちやぶり、溝埋は、田へしかける溝を埋めて水の通わぬようにする。樋放は、溝でしかけられぬ処は樋でとるを、それをはなつぞ。頻蒔は、かさねまきのこと。種をまくは一度ならではまかぬを、一度まいた上に又まくとはえぬぞ。串刺は、日の神の御田に串をさして、うばうて吾田となさるる。これで田地に串をさして呪詛する法あり、それじゃと釈紀にいえるはわるい。呪詛の意あれば謀反ぞ。ただ金気の神ゆえ、人のせぬことを好んでなされたもの。日の神の御田と云うとおそれつつしむことを、おれが誰殿でもしてみせうと、わるさのあれる方からぞ。あとの生剥ぎは、いきておる馬の皮を剥ぐ。逆剥ぎは、ものむごう剥ぐこと。斎殿にござらるる時分、皮を投げこませられたぞ。屎(くそ)戸は、くそをこいて戸へにじりつけること。潔白清浄にものいみしてござらるる時、こうなさるる。これも釈紀には、人を呪詛するに糞をこくことあり、それにそまると必ずやむとあるが、まえにことわる通り、天下中おそれつつしんでおるに、人のえせぬことをおれがしてみせうと云うことぞ。日の神へ対しての悪さばかりでない、御先祖を祭らせらるる日の神の大事これ一じゃ。かくのごときわざゆえ、千座置戸の祓いをおおせて、かんやらいにやらわれさせられたぞ。こうした素尊じゃに、あの吾心清清しと仰せらるる御徳に至らせられたは、全く此の祓いの徳なり。許々太久は、今云うそこばくで、かずの多いこと。そこばくは、ここだくのよこなまりなり。万葉に、許々太久雖待君不来と、久しくまつことをよみ、許々太久毛啼鳥乃声哉と、鳥のこえごえなくをよむぞ。宣別はのべわくる。これこれの罪とのべあらわしけるぞ。惣じて告げ宣ることをのると云う。なにがしと告ぐることを名乗ると云うもそれぞ。国津罪は、天下万民の犯せる罪咎ぞ。膚断は、人のはだをそこなう。生膚断は、死にはせねどもきずつけること。なをんは、死を云う古語ぞ。死膚断はころすこと。白人は白癩。古久美は黒癩ぞ。かような病は、ただでない。かくのごとき病をうくる罪あってのこと。誰もやまいはまぬがれぬことなれども、これらは神明ににくまれてうくる病ゆえ、しかるゆえの罪がある。己加(が)母犯罪云云。皆禽獣のしわざぞ。母を犯すは上蒸と云うて、子より上へ淫乱する。子を犯すは下淫と云うて、下へ淫乱をする。かようの禽獣のわざをして神明ににくまれ、白人古久美の病もあるぞ。母與子犯は、母も子も犯したこと。子與母犯罪は、後母継子、庶母庶子犯す類。以上四通ぞ。前から色々説あれども、有無にはきとせぬ。此の通りが正説。貞観格に、母と子、子と母の文字の一ち上に犯の字がある。これでしながまぎれぬぞ。允恭紀に、六月の御膳に羹の汁がこおったゆえ、あやしいこととて、亀卜を仰せ付けられたば、骨肉の乱れがあろうと申し上ぐるから、御吟味あったれば、木梨軽太子と同母の軽の大娘皇女と御兄弟たわれてござることがあらわれて、軽太子は一度春宮に立たせられたゆえ、つみすることならいで、軽大娘皇女を伊予へ遠流せられたとある。かようなまざまざしいこと。天地神明のましまさぬ処なければ、陰陽気の貫かざることなきゆえ、毫末でも犯し過ちてやむことあれば、天地全体やまぬことはない。蔽い隠してなんの益に立たぬがこれぞ。
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