『維新と興亜』

創刊の辞(令和元年12月)

日本には「内なる維新」と「外なる興亜」が必要だ。それを訴えるためにわれらは『維新と興亜』を創刊する。
魂なき繁栄―。これこそが戦後日本の本質である。敗戦の屈辱と共に、日本人は自分たちが営々築いてきた文化文明の精華すらをも忘れ去った。いつしかそれは「もはや戦後ではない」と言われるようになり、爛熟した「魂なき繁栄」のみが残されることとなった。しかしそのような「魂なき繁栄」の時代は長続きせず、バブル崩壊を経て「失われた」時代に突入。「魂なき繁栄」は、その「繁栄」すらも危うくなっているのが現状である。もはや日本がカネによる求心力を持った時代は終わったのである。
いまこそ日本人が培った精神文化、魂の淵源に立ち返る時だ。先人は、この原点回帰の精神を「維新」と呼んだ。「維新」とは自国のみの繁栄を目指す単なる独善的変革のことではない。維新とはわが国の大義である尊皇を中心とした大道への覚醒である。そのうえで、自民族の利益のみに固執せず、世界がこぞって見習う国(万邦無比)の建設を目指す。
日本の覚醒は、世界の覚醒に繋がらなくてはならない。列強の植民地主義は功利主義とグローバリズムへと姿を変えて、いまだに世界をむしばんでいる。それへの対抗策は、アジア人が自ら培った古道(伝統思想)への覚醒にある。興亜の志とは単純なアジアの軍事経済的同盟関係を意味しない。功利を克服する文明史的転回こそ目指すべき道なのである。
維新は興亜に繋がり、興亜は興世界に繋がる。これこそが八紘為宇の精神である。この崇高なる民族的使命を胸に、天孫降臨以来のわが国の天職を全うすべく、経世済民の王道を混濁した現世に訴えていく。