「国体の本義を正し、対米従属からの脱却を!」(愛媛県師友会-ひの会会報『ひ』第502号)

ひの会会報表紙この度、愛媛の俊秀である三浦君が「ひの会」の会報を復刊されることになり、不肖ながら小生にも執筆依頼が来たので、ここに謹んで一筆啓上する。

三浦兄弟との出会い

小生と三浦君との出会いは、昨年(平成二十七年)十月に行った梅田雲浜先生生誕百五十年記念墓参にさかのぼる。梅田雲浜は、幕末勤皇志士の先駆けであり、安政の大獄で井伊直弼によって弾圧され命を落とした人物である。小生は、かねてより山崎闇齋の創始した崎門学を研究していたところ、この梅田雲浜が山崎闇齋の孫弟子である若林強齋の創始した望楠軒で学んだ、いわば崎門学の正統に連なる人物であることを知り、ちょうど昨年度が雲浜の生誕百五十年にあたることから、東京の浅草にある雲浜のお墓参りを有志でやろうという事になり、ネットで参加者を募ったところ、それを知った三浦兄弟が愛媛から夜行バスを乗り継いで参加してくれたのが彼らと知り合ったきっかけである。墓参りの後の一献で国事を談ずるや、たちまち意気投合し、同志の契りを結んだ。

以来兄弟との交流が始まり、彼らが愛媛にいる間は、ひの会のメンバーと一緒にスカイプで勉強会をしたり、また三浦兄が御上京の折には、昨今の情勢や学問の方向性などについてじっくり語り合うことが出来た。なお、勉強会では、これまで浅見絅齋の『靖献遺言』や若林強齋の『中臣祓師説』、また竹内式部による『中臣祓講義』などを読み、主として崎門・垂加の学の研鑽に努めている。兄弟は年齢も若く、学問に開眼して日も浅いとのことであるが、英志高邁にして才気煥発、尊皇愛国の熱情に満ち溢れている。そんな兄弟を小生は心から尊敬し、彼らとの知己を得た神計らいに感謝している。

安倍首相の「愛国詐欺」

さて、今年(平成二十八年)七月の参院選で自民党が大勝し、改憲勢力が憲法改正の発議に必要な衆参両院の三分の二に達した。これにより安倍首相は、かねてよりの政治的悲願である憲法改正に乗り出すと思われる。安倍首相は、かねてから保守主義の再生を掲げ、「戦後レジームからの脱却」や「日本を取り戻す」などといって政権を奪取した人物である。たしかに第一次安倍内閣では戦後における反日左翼教育の根拠となっていた教育基本法をはじめて改正し、防衛庁を防衛省に格上げするなど、称賛に値する治績を残したが、平成二十四年に第二次安倍内閣が発足して以降は、本来の約束に違い、保守層の期待に背くような政治を行っている。

たとえば、昨年末の電撃的な日韓「慰安婦合意」は実にひどいものであった。安倍首相は、元来いわゆる「従軍慰安婦」の存在を否定し、第一次安倍内閣の時も、慰安婦問題に関して「軍による強制連行の証拠はない」とする閣議決定をしている。にもかかわらず、この「合意」では、我が国が韓国に対して、「従軍慰安婦」の存在を認めて謝罪し、十億円もの賠償金を支払うことになった。これはあの売国的な民主党でもなしえなかった歴史的暴挙である。

また、第一次安倍内閣は、小泉政権下における行き過ぎた「構造改革」を修正し、郵政造反議員の復党を認めるなどしたが、第二次内閣以降は、次第に構造改革路線に回帰し、竹中平蔵等、構造改革を主導した新自由主義者を産業競争力会議や規制改革会議のメンバーにして、TPPや外国人移民の受け入れといった諸々の市場自由化政策を推し進めている。こうした一連の自由化政策は、かつて安倍首相が謳った「瑞穂の国の資本主義」と明らかに矛盾する。

安倍首相は憲法改正によって集団的自衛権の行使を可能にし、それによって「日米同盟」を強化する必要があると主張しているが、その際のその主張の根拠として挙げているのが、昨今における中国の海洋進出や北朝鮮の核開発の脅威である。しかし中国の海洋進出が脅威ならば、なぜ政府はいちはやく自衛隊を尖閣諸島に送って実効支配を固めようとしないのか。(事実、安倍首相は、かつて平成二十四年に起きた中国の活動家による魚釣島への不法上陸に対して、当時の民主党政権が船長以下の不法行為者を送還して世論を激昂させた際、政府に抗議声明を出し、そのなかで「政府は尖閣諸島に必要な人員を配置し、灯台や避難港を整備するなど、管理の強化に取り組む」ことを強く要請していたのである。)また、北朝鮮の核開発についてもこれに対抗する手段は、我が国の核武装による相互核抑止しかない。これらの対策は個別的自衛権の問題であり、憲法改正を必要としない。つまり安倍首相の政治決断の問題なのである。

対米従属の実態

それでも、安倍首相が集団的自衛権に固執しているのは、日本のためというよりもアメリカのためである。アメリカの対日要求は冷戦以後エスカレートし、「日米構造協議」や「年次改革要望書」などによって露骨な市場自由化圧力が加えられた。また歴史問題に関しても、アメリカは対中抑止の戦略上、日韓の対立を嫌い、我が国の韓国に対する譲歩を求めて続けてきた。それでいて、尖閣有事に際しては我が国を守ると約束しながら、我が国による尖閣諸島の実効支配については、日中間の対立を煽るとして反対してきたのである。このように我が国の政治決断にとって最大の障害となっているのは、他ならぬアメリカの存在なのであり、安倍首相はその外圧に屈したのである。

もっとも、安倍首相としては、「自由や民主主義」という価値を共有するアメリカとの同盟関係を維持することが、上述したように中国や北朝鮮の脅威を封じ込める唯一の戦略と考えているのであろう。しかし、ここで見落としてはならないのは、そうした「自由や民主主義」への信奉が、我が国体の尊厳を傷つけ、国家における自主独立の気概を喪失させてきたということだ。この自主独立の気概の喪失こそが、我が国が外敵から侮りを受ける根本の原因であることをいい加減理解すべきだ。

我が国体の尊厳なる所以

いうまでもなく、我が国は万世一系の天皇陛下を主君に戴く天皇国である。天皇陛下は天照大神の御子孫として我が国に君臨され、祭政一致の統治を通じて国民と利害苦楽を共にして来られた。また国民も陛下の臣民として忠節を尽くし、一度の革命を経ることなく皇統を守護し奉って来たのである。この君臣の関係を貫く大義こそ、我が国体の尊厳なる所以なのであって、それはアメリカ由来の「自由や民主主義」という価値とは本来相いれないのである。

周知の様に、先の敗戦以来、我が国はアメリカによって「個人主義」や「国民主権」、「政教分離」といった諸原則を掲げる憲法を押し付けられ、現在も日米安保条約や地位協定の下で五万人近い米兵や軍関係者が我が国の領土に存在している。しかしこの「個人主義」や「国民主権」、「政教分離」という原則は、「君民一体」、「天皇主権」、「祭政一致」を旨とする我が国体の本義と真っ向から対立するものであり、米軍の正体は、中朝を封じ込めるための抑止力ではなく、天皇を戴く我が国体を封じ込めるための権力装置に他ならない。

まさにこうしたアメリカ支配の現実こそ、安倍首相が脱却をめざす「戦後レジーム」であるはずであるが、上述したように、安倍首相は憲法改正によって「日米同盟」ならぬ「対米従属」を強め、「構造改革」路線への回帰による一連の市場自由化政策によって、我が国の経済構造をより対米依存的なものに作り替えようとしている。ただ一方で、現在のアメリカは、慢性的な財政赤字を抱える中で、孤立主義的な傾向を強めており、対日政策にコミットする意思も能力も薄れてしまっているとも言われている。

よって、このようななかで、我が国が真の独立を取り戻し、光輝ある国家として生き残る唯一の道は、何よりも我が国体の尊厳なる所以である君臣の大義を振り起こし、アメリカの支配下から脱して、本来の「瑞穂の国の資本主義」に相応しい、自立した経済システムを確立する他ないと確信する。その上で、小生が崎門学を学ぶのも、この学問がまさに我が国体の尊厳なる所以を明らかにし、君臣・内外の分別を正すことを要諦とするからである。今後とも三浦兄弟を始め、ひの会の方々と切磋琢磨し、道の究明に努めて参る所存である。

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