状況が沈静化し、クーデターに責任のある大臣たちがポルハナスの軍門に降ると、清国軍の司令官とポルハナスは共同で司法委員会を設置し三人の大臣やその家族、また事件に関わりのある官僚やラマたちを処刑した。新たな大臣が任命されたが、いまやポルハナスが支配者でありチベットの執権者であることは明白であった。しかし22歳のダライ・ラマ7世は反対の運命を辿った。失脚した大臣たちやジュンガルと共謀したことが明らかであった彼は父と一緒にカムに追放された。
統治の上では、清国は彼らがチベット情勢を安定化させると期待した改革を課した。チベットの法と秩序を保障するため、清による2000人の駐屯軍がラサに再び設置された。またこれを援護するための1000人の駐屯軍が東チベットのチャムドに設置された。さらに、清国皇帝はいまやアンバンとして知られる満州人をラサに駐在させ、チベットの指導部を注意深く観察し、ラサの駐屯軍を監督するように命じた。この清国によるアンバンの制度は1912年まで続いた。
清国は同様にチベットとシナの国境地帯の領土を切り取ることによってチベットの勢力を著しく弱めた。1728年にはカムにおける三つの広大なチベット人居住地域が四川省の行政権下に置かれ、さらに他の三つの居住地位は雲南省の行政権下に置かれた。アムドとココノールはすでに1724年、その土地を支配していたモンゴルのハーンによる反乱の結果、
清国皇帝はさらにチベットを細分化するため、1728年ゲルク派第二の転生ラマであるパンチェン・ラマにチベット南西(ツァン)及び西部地域の統治を提案した。パンチェン・ラマはこの提案を断ったが、最終的にツァン地方の三つの地域を統治することを受け入れた。かくしてラサ政府はいまや著しく縮小した版図を支配する政治体に過ぎなくなったのである。
1728年の改革は上手くいき、次の19年の間、チベット内部は平和であった。ポルハナスは強力で能力のある支配者であり、首尾よくアンバンや清国皇帝の信用を得ながら政権を安定的に運営した。彼はすぐにラサ駐屯軍の規模を500人に削減するよう北京を説得し、1735年にはダライ・ラマ7世を亡命あsd先から呼戻したが、チベットの全ての政治的実権から彼を締め出した。つまりダライ・ラマは精神的な指導者に過ぎなくなったのである。1739年、ポルハナスは清国皇帝からおうの称号を授与されたが、これは取りも直さず、彼がチベットの王になることを意味した。
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