拘幽操師説 浅見絅斎講述 若林強斎筆5/5

程子曰云云
拘幽操デ至徳ト云フノ真実ノ吟味ガ尽キルト云フコトガ、此ノ説デアイタゾ。
問君臣父子云々
天倫ハ天命自然ノツイデノコト、コチカラコシラヘタコトデハナイ、固有本然ゾ。大ムネ父子ハ骨肉一体ノ情ヲ得テ、自ラ離レラレヌ様ナガ、君臣モ天倫カラハ父子一体ノ様ニ、大切ニ思ウテヤムニ忍ビヌ様ニアルハズナレドモ、君臣ト云フト他人ト他人トノツナギ合セノ様ニ思ヒ、ドウシテモ情ガウスウテ何ト云フコトナウヨソ外ニナリ、親ヲ大切ニ思フ様ニ真実君ヲイトヲシミテドウモ忍ビラレズ忘レラレヌト云フ様ニナイ、是ハドウゾ。曰離畔云云、庶民ハナミナミノ者ノコト、ハナレソムクト云フハ、世間ナミナミノ者ノコト。ソレハ父子デモソレ、君臣デモソレ、何デモ皆ソレ。賢人君子ハ君臣父子一体ニ大切デ、ヤムニヤマレヌ本心ヲ得テ動カヌゾ。韓退之云々、文王ノ紂ガ無道ヲ知ラセラレヌデハナイガ、惟君ガイトヲシウテナラズ、忘ルルニ忍ビラレヌ心カラ、聖明ノ君ヂヤト仰セラレタ。親ノ子ヲ思フ様ニ、何ホド子ニワルイコトガアツテモ、ソレヲ知ラヌデハナケレドモ、其ノワルイナリニイヨイヨカハユウテ忍ビラレヌト同ジコトゾ。直是有説云云、有説ハトキヤウガアルト云フコト。転語ハ一転語トテ、意ノドウモスグニトケヌ処ヲカウ云フコトデトケルト、一ト転ジ転ジテ語ヲ下スコトヲ言フ。ソコデ文王ノ心ガ説得出サルルゾ。看来云云、ヨウ合点シテ見ルニ、天下ニ不是底ノ君父ハナイ。不是ト思フハ、モハヤ君父ノ寝首ヲカク種ガ出来タゾ。恐ロシイコトヂヤ。何デアレ、アナタヲ是非スルコトハナイ。我ヨリ尽シテユクヨリ外ナイゾ。アナタノワルイト云フハ、皆我ヨリスルモノガツキヌユエ、我ヨリ尽シテユクニ、何シニアナタノアシカラウ様ナイカラハ、アナタニ不是ト云フコトハナイ。不是ト云フハ、臣子ノ口カラ言フニ忍ビヌコトヂヤノ、言フハズデナイノト云フコトデハナイ。底心不是ト云フコトハナイゾ。聖人ハマヅカウ云フナリニ、父子君臣一体ノ心ナリ。常人ハソレヲ則トシテ、ヒタモノ怒ラルルニツケ悦ビラルルニツケ、敬ヲ起シ孝ヲ起シテ不是ト見ル種ノノコラヌ様ニツトメテ、ドコマデモユクコトゾ。荘子云云、大戒ノ二字ガスマヌコトゾ。戒ハ総体泛ウサウセナ、カウセナト云フ様ニ戒メルコトヂヤガ、君臣父子ノ大倫ハ、天理自然ノ動カサウ様モカへ様モナイ本心ニ根ザシタコトヂヤニ、大戒ト云フトキハ、根ザシタコトハナクテ、イマシメテ作リツケタモノ、其上無所逃於天地之間トイヘバ、ノガルル所アレバノガルル合点、逃レヌニ因ツテセウコトナシニヤムコトヲ得ズシテスルニナルゾ。旧嘗云云、題跋ハ跋ノコト。一文字ハ宋君忠嘉ガ集ノコト。見文集荘子ガ言分ノ通リナレバ、君臣ノ義ハ、ドウモセウ様ガナサニ、義理ニツマリテスルコトニナル。ソレハ君ヲ無スルト云フモノ。此レハ是レト云フハ君臣ノ義、父子之親ノコト、自然有底道理ト云フハ、固有ハエヌキノコト。
礼曰、天先乎地云云、
上下尊卑、ソレゾレニ名分ガ立ツテ、万古動カヌモノ、天地ト位ト同ジコトデ、何デアレ君ハ臣ヲスベテ引キマハシ、臣ハドコマデモ君ニ従ウテ二ツナラヌガ、各々当然ノ道理ゾ。坤之六二云々、六二ハ臣ノ位ヲ言ウテ、敬ハドコマデモ君ニ事ヘテ大切デハナレラレズ、アダオロソカニ存ゼラレズ、日月ヲ仰グ様二思フヨリ外ナイコト。マヅコノナリニ文王ノ「為臣止於敬」デコレガ文王二限ツタコトデナイ、誰トテモ君臣ノ本然、山出シノハエヌキガカウヂヤ。其ナリノ全キガ文王デ、万世君臣ノ目アテゾ。泰誓云々、天命ニモセヨ、何ニモセヨ、臣タル心ニドウモサウ云フコトハイマイマシウテ忍ビラレズンバ、何トセウ。ココノ未ノ字ノハゲヌ処で、君臣ノ義トサヘイヘバ、太伯・文王・夷斎ヲ目アテトスルヨリツント外ナイゾ。ココガ孔子ヲマナブノ肝要ゾ。
 

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