アメリカの対日政策覚書

アメリカの対日政策覚書

昔読んだゴーリスト(ド・ゴール主義者)片岡鉄哉の『日本永久占領』のうろ覚えだが、対日占領政策に関して米国務省はGHQ民政局はじめラディカルデモクラットが主流で全面講和派、対するにマッカサーはじめ軍・国防省系列は単独講和派で日本の早期独立再軍備容認である。

 

しかし国防省にとって日本の再軍備逆コースは、ソ連封じ込めという道義目的の手段に他ならず、結局両者はアメリン・デモクラシーで封じ込めるのは日本の天皇国体か、それともソ連の共産主義かという議論をしていたにすぎない。

 

これに付言すれば、国務省の政策はジェファーソン的な民主党のそれに親和的で、国防省はハミルトン的な共和党のそれに近いと単純化して言っても当たらずとも遠からずだろう。現在の対日政策においては、前者は日米安保を日本封じ込めの「瓶の蓋」に見立て、性懲りもなく中国への「関与(engagement)」政策を続ける。後者は中共をソ連に代わる封じ込め(containment)の対象とし、我が国が完全にアメリカン・デモクラシーで馴致されたことを前提して、我が国の再軍備ひいては核武装を容認する政策に現れる。

 

ところで、我が国の民主政治は古来祭政一致で米国型の個人中心のそれとはまことに似て非なるものである。さすれば共和党のいわゆる知日派が我が国の保守派にそそのかすような憲法改正は、飽くまで集団的自衛権のテクニカルな問題であって、天皇条項や国体の真姿顕現に触れたものではありえない。それを我が国の自称保守派はどこまで理解しているのか。

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