坪内隆彦氏待望の新著『GHQが恐れた崎門学』(展転社)刊行

%e3%80%8eghq%e3%81%8c%e6%81%90%e3%82%8c%e3%81%9f%e5%b4%8e%e9%96%80%e5%ad%a6%e3%80%8f%e8%a1%a8%e7%b4%99坪内隆彦氏による待望の新著が刊行される。その名も『GHQが恐れた崎門学(きもんがく)―明治維新を導いた國體思想とは何か』(展転社)である。

著者はこれまで『アジア英雄伝』や『維新と興亜に駆けた日本人』(何れも展転社)などの著作を出されているが、本作は、幕末の志士たちに影響を与えた五冊の書として、浅見絅齋の『靖献遺言』、栗林潜鋒の『保建大記』、山県大弐の『柳子新論』、蒲生君平の『山陵志』、頼山陽の『日本外史』を取り上げ、それぞれの史的背景や根底思想について論じている。

なかでも本作の特徴は、上述した五冊の書を、江戸前期の儒者・神道家である山崎闇齋の創始した崎門学の系譜のなかに位置づけ論じていることである。崎門学は、我が国の皇室を中心とした君臣父子の大義名分を説き、後に伊勢・吉田神道の流れを汲む垂加神道と合一して、幕末における尊皇攘夷運動に多大な影響を与えたとされる。

実は筆者も、著者とこの崎門学を共に研究している間柄から、本作ではその巻末において「今何故崎門学なのか」と題する拙文を掲載して頂いた。

来年、明治維新から百五十年を迎えることから、巷間では明治維新の史的意義を顕彰する動きが出始めている反面、これに楔を打つかのように、幕末維新の歴史を、単なる利害衝突や権力闘争の歴史として切り捨てるような言説も流布している。そこで著者は本作の「補論」において一節を割き、歴史を高みから批評するのでなく、崇高な大義を掲げて歴史を切り開いた先哲を謙虚に仰ぎ見る姿勢の重要性を強調している(「原田伊織『明治維新という誤り』批判序説」)。

崎門学を学ぶ同志の一人として、本作が、閉塞感にあえぐ現代の若者にとって思想的な発火材になることを期待するものである。

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