第三次アーミテージ報告(全訳資料):『米日同盟―アジア安定の鎮台』(2012.8)①

タイトル 米日同盟―アジア安定の鎮台

著者 リチャード・アーミテージ

   ジョゼフ・ナイ

発表 20128

発行元 CSIS日本部会報告

 

 

目次

はじめに

エネルギー保障

経済と貿易

周辺国との関係

新防衛戦略に向けて

結論

提言

 

 

 

はじめに

米日同盟に関する本報告書は、両国の関係が漂流している時節に上梓されることになった。というのも、米日両国の指導者は無数の難題に直面しているため、世界の中で最も重要な同盟によってもたらされる福利が危殆に瀕しているのである。カート・キャンベル国務次官補や両国の関係者による懸命の努力により、同盟関係はかろうじて安定しているが、今日の地域的な難題はそれ以上の努力を必要としている。同時に、我々はシナの再興とそれに随伴した不確実性、核武装し敵愾心を燃やす北朝鮮、アジアのダイナミズムといった状況に直面している。他にも、今日のグローバル化した世界や複雑性を増した防衛環境の中には、多くの課題が存在しているのである。よって目下の重要課題に十分に対処するには、同盟をより強固で対等なものにせねばならないのである。

 同盟をそうあらしめるために、米国と日本は一等国(tier one state)の見地に立って行動せねばならない。我々の見方では、一等国とは卓越した経済力と軍事力、国際的視野、国際問題に対する指導力を有する。同盟関係で米国が支援できる領域はあるが、我々は米国の一等国たる地位が不動であることを信じて疑わない。しかし日本はこの点について決断せねばならない。日本は一等国であり続けることを希望するのか、それとも二等国に堕して漂流するつもりなのか。もし二等国という地位が日本人とその政府にとって十分ならば、この報告書は何の意味もなさないだろう。我々の同盟に対する評価と勧告は、日本が国際舞台の中で米国のよきパートナーとして貢献しうるかどうかにかかっているのだから。

 とはいっても、我々は日本の影響力と世界における役割を阻害している問題を認識している。日本は人口の劇的な高齢化と出生率の低下を抱えている。また債務のGDPに対する割合は200%を超えている。6年の間に6人の首相が交代した。日本の若者たちの間では、悲観論と内向き志向が蔓延している。しかし日本の影響力後退は必定ではない。日本は一等国の地位を維持しうる十分な可能性を秘めている。結局それは日本の一存にかかっているのだ。

 日本は現在多くの難題に直面しているが、日本の国力と影響力に関しては、未だ過小評価され、活用されていない側面が存在する。日本は世界で第三位の経済大国であり、国内の消費需要はシナの二倍である。日本は改革と競争を促進すれば、巨大な経済的なポテンシャルを持ち続けることが出来るだろう。より開放的な自由貿易と移民の受け入れと女性による一層の労働参画は、日本のGDP成長に資すること大なりであろう。また日本のソフトパワーは相当なものである。国際的な尊敬を集める国としては日本は世界で三本の指に入り、「ナショナルブランド」に関していえば、堂々の一位である。

 日本の自衛隊は今や国内で最も信用された機関であり、時代錯誤的な制約が緩和されるならば、日本の国防力と名声を高めるためにより大きな役割を果たせるだろう。

 日本は世界の片遇に佇むような取るに足らない国ではない。米国と他の国は、日本のことをアジア太平地域の戦略的な均衡を保つ海洋における要衝として頼りにしている。日本は国連やIMF、その他の国際機関に対しては二番目に大きい資金供与国である。また世界で最もダイナミックな半球におけるシーレーンの開放性を確保している米軍のホスト国である。

 米国は日本が強い米国を求めている以上に強い日本を求めている。そして我々が同盟を評価し先導するにあたって依拠するのはまさにこの観点なのである。日本が米国と負担を分かち合うのであれば、日本はもっと前進せねばならない。日本は過去、アジアの指導国であったし、将来もそうあり続けることが出来る。

 以下の報告書は超党派のメンバーからなる米日同盟の研究会で得たコンセンサスを代言している。本報告書は、特にエネルギーと経済、国際貿易、周辺国との関係、防衛関連の問題を取り扱っている。これらの分野では、研究会が日本と米国に短期と長期のフレームで政策提言を行う。そしてこれらの提言はアジア太平洋地域の平和と安定、繁栄の動力となる同盟の強化を意図するものである。

 

 

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