第三次アーミテージ報告(全訳資料):『米日同盟―アジア安定の鎮台』(2012.8)⑧

人権と米日同盟:行動アジェンダの策定

2012430日の米日同盟の将来に関する共同声明は両国の関係を強固ならしめる共通の価値に対する明確な言及を含んでいる。曰く「日本と米国は、民主主義と法の支配、開かれた社会、人権、人間の安全保障、そして自由で開放的な市場へのコミットメントを共有する。こうした諸価値は、現代の国際的な諸問題に対処する共同の努力へと我々を誘うだろう」。また共同声明はそのあとで、これらの諸価値を実現し機能させることを固く誓っている。曰く「我々は、法の支配を促進し、人権を擁護し、平和の維持、紛争終結後の安定化、開発援助、組織的犯罪や麻薬の密輸、伝染性の疾病への取り組みを向上させるために協働することを誓う」。

 人権に関してより具体的な行動アジェンダを促進することは称賛に値する目標であり、そうした目標を達成する機会は沢山ある。ブルマ(ミャンマー)での民主改革を向上させることには高い優先順位が与えられるであろう。米国と日本は民間部門による投資や外国による援助、国際金融機関からの貸付などによる経済的梃入れを利用して、グッドガバナンスや法の支配、国際的な人権規範に対する支持を高めることができる。またCSRに関する最高基準を設定し、ブルマにおける全ての当事者(そこには少数民族や政治的反体制派を含む)がブルマの経済的将来に関与すること確証することによって、ワシントンと東京はブルマを冷酷な軍事的専制から本当に代表的な民主制を敷く国に変えようとする人たちを支援することができるだろう。同様の協調的な努力は、国際的な人権法を高め市民社会を擁護するための真のコミットに導かれるならば、貧弱な人権状況を抱えるなか最近米国が防衛協力を進展させ、また日本が顕著に経済的政治的利権を有するカンボジアやベトナムのような国も配当に預かることができるであろう。

 日本により近い国としては、北朝鮮が難問を投げかけている。平壌による人権弾圧はとみに指摘され目に余るものがあるが、米日両国はそのことを声高に叫んできた。しかし米国は伝統的に北朝鮮における人権問題を「メインイベント」たる非核化からの逸脱と見なし、日本は大概北朝鮮にかつて拉致された日本国民の運命にフォーカスを当ててきた。我々は、改めて拉致被害者全員の奪還に向けた日本の努力を支援することを確認するとともに、日本と米国がこの問題に関して人権やその他の問題に対するより広汎な戦略のなかで有効に関与するために緊密に協力し合うことを勧告する。

 韓国を含めた同盟にとっての解決策は、対処する問題の範囲を朝鮮半島における人権問題全般に拡大することに見出されるかもしれない。つまり、拉致や政治的宗教的自由に対する過酷な弾圧のみならず、食料安全保障や、災害救援、公共衛生、教育や文化交流などである。朝鮮半島の非核化に関する六か国協議が保留されているなかで、人権に焦点を当てたアジェンダによってソウルや同様の問題に関心を持つ他の国々が緊密に協調するならば、同盟は平壌の新しい指導部が彼らの将来を画定する戦略環境を形成し直す機会に恵まれ得るだろう。

 

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