インド財界、モディ氏に鞍替えの様相(英誌『エコノミスト』10月19日付)

今月19日付の英誌エコノミストは、いまやインド財界が足並みをそろえてBJPのナレンドラ・モディ現グジャラート州主席大臣の首相就任を待望しつつあることを報じ、またその理由について分析している。

http://www.economist.com/news/business/21588061-why-indian-firms-are-rooting-narendra-modi-new-business-idol

91以降の経済自由化路線のなかで現在の連立与党である国民会議は偉大な功績を残したが、一方で遅々として進まない改革が一因となり、景気は頭打ち、経済は減速傾向を示している。同誌によると、2008年5月時点ではGDPの14%を占めていた企業の設備投資が10%弱に落ち込み、かつて最高で10%あった経済成長率も4%代に鈍化してしまった。

また同誌は、これまでインドの大企業は国民会議派が主流であったが、彼らはこうした閉塞状況に業を煮やし、モディ率いるBJPへの鞍替えを始めていると報じている。

首 相候補の首位を独走するモディー氏であるが、彼の実像はいまだヴェールに包まれている。一部の欧米のメディアは、2002年のグジャラートで起きたヒン ドゥーとムスリムの宗教対立に際して、彼が当時同州の主席大臣の地位にありながら、流血沙汰を静観することで、むしろヒンドゥーによるムスリムの迫害に暗 に加担していたとして非難している。

し かし彼はそうした、いわくつきの人物であるにもかかわらず、主席大臣としての経済手腕には定評があり、工場用地を探していたタタ・グループの会長に自ら声 をかけて企業誘致の陣頭指揮をとった逸話などが知られている。今では、インド最大の財閥企業であるタタ・グループ前会長のランタン・タタ氏や、インドで一 番の金持ちとされるリライアンス・グループのムケーシュ・アンバーニ氏なども、モディ氏支持を表明している。

モ ディ氏のお膝元であるグジャラートは全国でも比較的、道路や港湾、電気などのインフラが充実しており、インドの慢性的疾病である賄賂や汚職に対する取り組 みも活発だ。企業や投資化がモディ氏に目を向けるのは、こうした理由によるものであり、彼らはモディ氏がインドの首相として持ち前の弁舌とカリスマ、豪腕 によって諸々の規制改革を断行し、インドのサッチャーになることを期待していると、同誌は述べている。

 

(『インド・ニュース』、http://blog.livedoor.jp/indianews/archives/666481.html

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