12.東亜民族の共存共栄に向け、「協調的保護主義」による定常社会を選択しましょう。
最後に、これは前段と若干重複しますが、私たちは道徳破壊的な金融経済の過度な膨張を、国家によって適切に統制し、共同体と資本の相反する論理に道徳的な妥協点を見出さねばなりません。この目的を達するには、経済的な開放を進めた国家が単独で行うのは不可能であり、民族自決と国家共同体の保守という共通の政治的命題を有する諸国家が、いわば「協調的保護主義」のような方式によって緩やかな成長社会への転換を選び取らねばなりません。前述したように、私たちはいまや、モノへの必要が飽和した産業社会の限界に直面しています。よってこれ以上、従来の「開発・成長主義」にしがみつこうとすれば、禁断のカネ市場に時限爆弾のようなバブルを作り出し、停滞する実体経済を虚構の金融経済で無理矢理牽引するしかありません。しかしこうした欺瞞と虚飾に満ちた経済社会が、いかに我々の文化と道徳を破壊し、国民に甚大な不幸を強いるものであるかは、昨今の金融恐慌が雄弁に物語っているのではないでしょうか。国家主導の道徳経済が、いまほど必要とされている時代はありません。(終)